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2007年8月26日 (日)

『「世界征服」は可能か?』岡田斗司夫

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岡田斗司夫さんの本はだいぶ前に『僕たちの洗脳社会』を読んで、それが大変面白かったのですが、これも期待以上でした。

テレビやマンガのヒーローものの悪役は、たいてい「世界征服」をたくらみますが、それを現代社会で実現させる可能性を考えると、いつの間にか「ポストモダン」の解説のようになり、「そのような現代でいかに生きるべきか?」ということのヒントのようなことまで書かれています。

そもそも「世界征服」という発想自体が前時代的なモダニズムによるもので、それがいかに現代という時代にそぐわないかを考えていくと、自然と分かりやすいポストモダンの解説になるのです。

「そのような現代でいかに生きるべきか?」というのは、現代は「世界征服」という概念から程遠いようでいて、実はみんなが知らない間に巨大な悪に「世界征服」されてしまっているのでは?・・・そう考えることもできるかも知れない、ということです。

つまり前時代的な「悪の支配」はデフォルメされて誰の目にも明らかなのだけれど、今の時代の「悪の支配」というものは、時代にマッチしているだけに誰も気づかない形で存在している・・・かもしれないのです。

その隠された現代的な「悪の支配」を見抜くには、前時代的な「正義」に捉われてはならず、時代にマッチした新たな視点が必要になり、それが「現代をいかに生きるか?」につながるわけです。

ちなみにネットで語られる「陰謀論」のようなものは前時代的な悪の典型で、分かりやすいからネットで話題になりやすいだけで、そうではない「切り口」のヒントをこの本は提供してるのではないかと思います。

あと思い付いたんですが、「世界征服」にリアリティがないとしても、そういう悪者が出てくるドラマを見る子供は現に「親や教師からの支配」を受けていて、そこから自立を目指す立場から、無自覚的に共感を得ているのかもしれません。
もっとも、親や教師の支配力も昔に比べだいぶ弱くなったようなので、そんな図式も成立しないのかもしれませんが。

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