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2007年8月 7日 (火)

The World of FOTOMO 日本語原文

The World of FOTOMOはオリンパスの英文サイトPURSUITに提供したコンテンツです。
これまでぼくは「フォトモ」と「非人称芸術」の関連についていくつかの媒体に書きましたが、ネット上ではそれらの詳細なテキストは発表してませんでした。
ですからここにあらためて、The World of FOTOMOの日本語原文を掲載します。
さらに詳しい解説は、ぼくのフォトモ作品集をご覧ください。

では、以下どうぞ。

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「フォトモの世界」

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フォトモとは

Yaoya

上に示した画像は、パソコン上に製作した仮想的立体物ではない。これは現実に立体的なものであり、実際に手に取って見ることができる。
この作品は現実の風景を写した写真を切り抜き、それを立体構成し製作されている。
この手法を私はフォトグラフ・モデルの略語として「FOTOMO」と名付けた(日本ではプラスティックモデルをプラモと略す習慣があり、それに従った)。

写真というメディアは「これぞ本物」という実証性がある反面、あくまで平面の像でしかない。
逆に立体物である模型は、どんなに精密に作り込んでも「写真と同じリアルさ」にはならない。
FOTOMOは文字通り、写真のリアリティと模型の存在感を兼ね備えている。

FOTOMOの鑑賞者の脳内では、模型的な現実の立体と、写真的な仮想の立体がミックスされ、非常に奇妙な立体感が体験できる。
だからFOTOMO製作の際には、大まかな形のみを立体で作り、細かな立体は元の写真像を活かすようにしている。
また、このFOTOMOは元の写真のパースペクティブを活かした半立体表現になっており、限られた空間内に奥行を表現している。
現実的な立体写真であるFOTOMOは様々なアングルから鑑賞するし、その場所に実際に行ったような気分に浸ることが出来る。

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フォトモのコンセプト

私がフォトモのモチーフとするのは日常的な街並み、建物、オブジェクトなどに限られる。
私は日本以外の国でもフォトモの製作をするが、どこへ行っても有名な建築物や観光地はモチーフに選ばない。
それらのものは、多くの人々にすでに価値が認められているもので、わざわざフォトモで表現する必要を私は認めない。
私が興味があるのは、あまりに日常的過ぎて誰もが見過ごしているものの中に、私独自の価値を見出すことであり、それを表現するためにフォトモを製作しているのだ。

私は自ら提唱する「非人称芸術 Impersonal art」と言うコンセプトに基づいて、作品を制作している。
例えば上に示したフォトモのモチーフとなった建物は、1階が八百屋で2階はカラオケ店(レーザーディスク完備と書いてある)であり、その隣は子育てを祈願するためのお寺がある。
この組み合わせは日本の日常的感覚から見ても奇妙であり、まさに「解剖台の上でミシンとこうもり傘が出会ったよう」(シュールレアリズムの有名な誌の一部)である。
しかしこの奇妙な街の一角は、一人のアーティストの無意識によって創作されたものではない。
それは多くの人々の無自覚な行いの結果として現れたもので、まさに作者不在の芸術作品のように私には見える。
そこで私はこのようなものを「非人称芸術」と呼ぶことにした。
この場合の非人称とは「人間の行いにもかかわらず、主体が特定できない有様」を指す。
近代的な都市空間は人々の理性によって作られているが、それと同時に様々な「非人称」の作用も存在する。
作者不在の非人称芸術は、非人称的作用のうちに芸術的価値を発見する鑑賞者によって創造される。
非人称芸術は私の製作物ではないので、写真で記録することになる。
しかし私が「非人称芸術だ」と思って撮影したものは、ことごとく単なる風景写真になってしまった。
そこで非人称芸術を「オブジェ」として表現するフォトモの技法に行き当たったのだ。
フォトモとしてミニチュアとなった街並みや建物は、実用性を完全に失った純粋なオブジェとなる。
そうすることで、現実世界を純粋なオブジェとして鑑賞する私の視点が、作品として表現できるのである。
フォトモはまさに私にとって、非人称芸術を表現するためのメディアなのである。

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フォトモの製作過程

私がこのフォトモのために撮影したのは建物の写真が6枚と、通行人の写真が数枚(ここに掲載した以外にも撮影している)である。
建物は壁面ごとに少しずつ角度を変えて撮っている。

撮影した写真をこのように並べると、全体のイメージを掴むことができる。
このイメージを元にプリントを切り抜き、適切に立体構成するとフォトモが出来上がる。
この作品はデジタルカメラで撮影し、パソコンで画像加工して作られている。
しかしそれはごく最近のことで、私は10年以上前から35mmフィルムで撮影したプリントを切り抜き、フォトモを製作している。
だから私は新しい写真表現を模索する上で、銀塩かデジタルかという違いは重要視する必要がないと考えている。

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