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2007年8月 7日 (火)

[Welcome to Planet 60x]日本語原文

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Welcome to Planet 60xはオリンパスの英文サイトに提供したコンテンツですが、ここにあらためてぼくが日本語で書いた原文を掲載します。
いちおう英訳しやすいよう、英語の訳文のような少し硬い感じの日本語で書いたつもりです。
このシリーズは、2001年10月コニカプラザで開催した個展『60倍の惑星』として発表したもので、2007年に発売された写真集『東京昆虫デジワイド』の原型ともなった手法です(同書ではスペースの都合でそのところまで触れることができませんでしたが)。
また以下のテキストでも、これまたスペースの都合で「60倍の惑星」と「非人称芸術」とのつながりを説明するに至りませんでした。
いや、実際は「非人称芸術」という用語が出てこないだけで、それについては説明してるので、趣旨は分かるんじゃないかと思いますが。
と言うわけで、以下どうぞ。

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「60倍の惑星」

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隊員達はナゾの惑星を探査してゆく。
目の前に次々と現れる奇怪なオブジェの数々…

「一体どういう惑星なのだろうか?」
「とにかく調べるんだ、徹底的に。」

身長3センチ、1/60スケールの人形を路上に置き、写真に撮る。
すると周りの全てが60倍に拡大された世界が体験可能となる。
『60倍の惑星』は日常に隠されたもうひとつの世界、かつて誰も創造し得なかった光景が広がる未知の領域なのである。

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「日常」とは退屈な事柄の代名詞でもある。
多くの人々は、日常世界については何もかも知り尽くしていて、新しい発見が何もないと思っているだろう。
しかし私はある時、日常世界の細部を拡大すると、そこに魅力的なオブジェクトが発見されることに気付いた。
われわれにとっての日常世界である都市は、人間の意図によって作られている。
しかし人間は役に立つものを作るとき、その細部までに気を回す事はない。
人工物でありながら人間の意図の及ばない領域があり、それが「細部」なのだ。
人間の意図の及ばない細部の造形は、優れた芸術作品に類似している。
優れた芸術作品は、作者の意図を超えた無意識のインスピレーションによって描かれる。
実用的な人工物の細部は、人間の意図を超えた無意識によって造形され、芸術家のインスピレーションと同等の自由さ、意外性、大胆さを備えている。

このことに気付いた私は、まずOLYMPUS OM4-Tiに50mmマクロレンズを装着し、街の細部を拡大撮影した。
ところがこの手法では私の伝えたかった感覚が上手く表現できなかった。
それでいろいろ考えるうち、ポール・セザンヌの以下の言葉が目に止まった。

「ミカンの隣にりんごを置くと、それらは果物となる。ミカンの隣にボールを置くと、それらは球体となる」

私は、同じものも視点によってまったく違って見えることを表現したかったし、セザンヌの言葉にはその方法が暗示されていた。
そこで私は小さな人形を傍らに置き、比較する手法を思いついた。
人形との比較により、細部の実際の大きさの感覚が失われ、純粋なオブジェとして鑑賞することが可能となる。
人形はスタートレックのおもちゃの宇宙船に付属していたものを選び、塗装を替えて使用した。
この人形の無機質な性格が、先入観にとらわれない中立な視点を表している。
レンズは通常のマクロレンズのほかに、魚眼レンズでの接写も試みた。
すると細部に連なる街全体が、SF映画で描かれる他の惑星のように見えるようになった。
知っているはずの日常世界は、未知の「60倍の惑星」に変貌したのだ。

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私はかつてこのシリーズの写真をOLYMPUS OM4-TiにSIGMA 15mm f2.8 FISHEYEを装着し撮影した。
そして今回は、OLYMPUS E-330にZUIKO DIGITAL 8mm f3.5を装着し、新たに撮影した。
E-330は可動液晶モニターのライブビューによりローアングル撮影が楽にでき、これはかつてのOMシステムはもちろん、他のデジタル一眼レフにはない特徴だ。
また、ZUIKO DIGITAL 8mm F3.5 は最短撮影距離が13cmと短く、35mmフィルムカメラ用の15mm魚眼レンズより被写界深度が深い。
このレンズはフードが短いのも特徴で、接写のとき影が出にくく便利である。
かつて使用したシグマ15mmはレンズフードを金属加工用鋸を使い自分で短く切ったが、ズイコーデジタル8mmにはその必要はない。
今回の作品では、OLYMPUS StudioでのRAW現像も試した。
特に暗めの写真を「自動トーン補正」により暗部を無理やり持ち上げると、独特の色調になる。
この効果は写真によって違うので、使いこなすにはさらに研究が必要だ。

近年のデジタルカメラの進歩は著しく、驚くばかりだ。
表現者も更なる新しい視点を提示する必要があるだろう。

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以上、作品はこちらの原ページWelcome to Planet 60xをご覧ください。

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