本に書いてありそうなこと想像して書く
このブロクは立ち上げてしばらくは方針も決まらず、タイトルはずっと「雑記」のままだった。
しかしこのところ方針らしきものが見えてきたので、それに合ったタイトルを考えていた。
実は一瞬だけタイトルを『思考のブリコラージュ』というのに変えてみたことがあったのだが、そんなふうにカッコ付けのタイトルが一番カッコ悪いと思い(笑)すぐ元の『雑記』に戻してしまった。
そんなふうに何度でもやり直しできるのがブログの利点なのでまた変えてしまうかもしれないが、今度は『本に書いてありそうなことを想像して書く』というタイトルを思いついた。
このブログの方針とは、「自分が思い付いたことを色々書く」というだけのことだ。
ぼくはなぜか「言いたがり」の性質があり、例えば自分の作品集にも巻末になにか自分の文章を書きたくなってしまう。
しかし基本的に勉強嫌いなので、まずちょっとだけ勉強して(本を読んで)あとは自分の「インスピレーション」に任せて自分独自の文章を書こうと思っていた。
ところがそのやり方では、はじめにちょっとオリジナルっぽい文章が書けるのだけど、それ以降は何度書いても似たような内容の文章になってしまうのだ。
つまり「あの人の話は初めはちょっと面白いけど、実は何度も同じ内容を繰り返してるだけなんだよ」みたいな「良くいる困った人」になっていたのだ(笑)。
それではマズイと感じだぼくは「ヤッパリもうちょっとぐらいは勉強しないとダメだ」と思い、再び本を読んでみた。
すると読んだ分だけ、また少しオリジナルっぽい文章が書けたのである。
本を読んだ分だけ文章が書けるということは、本を読まなければ文章が書けないということだ。
つまりぼくは「インスピレーションに任せ、自分独自の文章を書く」なんてことは初めからしていなかったのだ。
では何をしていたのかというと、まず他人が書いた本を何冊か読んで、本に書いてある内容の断片をツギハギし「オリジナルっぽい文章」に仕上げていたのである。
これは言い換えると、本を何冊か読むことで「本というものには、大体こんなことが書いてあるのだ」という傾向を知り、そのデータのもとに自分で「いかにも本に書いてありそうなこと」を想像しながら書いていた、ということになる。
だから読書量が少なければ「いかにも本に書いてありそうなこと」の想像も貧弱なままで、逆に読書を重ねるほど「いかにも本に書いてありそうなこと」の想像も膨らむわけだ。
そうはいってもぼくは基本的に読書は苦手なのだが、ともかく「本に書いてありそうなことを想像して書く」という方法で書いていたのだから、それをこのブログのタイトルにしてみようと思ったのだ。
ところで、この「本に書いてありそうなことを想像して書く」という言葉だが、これももちろんぼくが「いかにも本に書いてありそうなこと」を想像しながら思い付いたものだ。
なぜそんな想像をしたのかというと、自分が読んだ現代思想の入門書の何冊かに共通して「自分の考えというものは、他の誰かの考えのコピーでしかありえない」というような事が書いてあったからだ。
人間は自分で色々考えるが、考えるときは「言葉」という道具を使う。
「言葉」というものは個人がオリジナルで生み出すものではなく、大昔から多くの人々が共有してきた「考えるための道具」である。
つまり「自分で考える」とは「言葉を使う」ことであり、その言葉は「他人と共有した道具」だから、「自分で考える」は「他人の言葉で考える=他の誰かの考えのコピー」になってしまうのだ。
もちろん、他人の言葉の「完全コピー」だとオウムや九官鳥やテープレコーダーのようになってしまい、思考やコミュニケーションが成り立たない。
だからまず人間はさまざまな種類の「他人の言葉=他人の考え」を学び、そして自分が今体験しつつある具体的状況に合わせ、学んだ言葉の断片をつなぎ合わせ「自分の言葉=自分の考え」を構築するのだ。
例えば、最近「食の安全」が大きな話題になり、ネット上でもさまざまな人が「自分の意見」を述べている。
しかし実際は「どこかで聞きかじった他人の言葉の断片を寄せ集め、さも自分が思い付いたように言っている」ケースが多く含まれているハズである。
これに限らず「自分の考え」というものは、さまざまな「他人の考え」を学び、そのデータをもとに「いかにも誰かが考えそうなことを想像して考えた」結果だといえるのだ。
逆に「他人の考え」を学ぶことに失敗すると「いかにも誰かが考えそうなこと」の想像力が不足し、その結果「自分の考え」もヘンな内容になり悪くすると刑務所か病院送りになってしまう。
そのように「自分の考えというものは、他の誰かの考えのコピーでしかありえない」のだが、これは当然「考えを記したもの=書物」にも当てはまる。
だから「本に書いてありそうなことを想像して書く」というようなことは、すでに誰かがどこかの本に書いているだろうことが想像できるのである。
と、そのようなわけでタイトルを変えてみたのだけど、まだカッコ付けでエラソーな感じかも(笑)
また「雑記」にもどそうか・・・
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