ドールハウスその後
前回の記事を書いた後、ドールハウスについて調べてみたのだが、デュシャンの友人キャリー・ステットハイマーのドールハウスの本が出ていることが判明。
amazonで購入できるようだ。
http://www.amazon.co.jp/Stettheimer-Dollhouse-Sheila-W-Clark/dp/0764948024
Flickrに、その内部写真が出てた。
http://www.flickr.com/photos/88544224@N00/1372795586
ドールハウスと言うと、重厚なヨーロッパ調をイメージしてたのだが、意外にすっきりとモダンな感じだ。
素人写真で不鮮明だが、写真真ん中に見える絵が、デュシャンから贈られた『階段を下りる裸体』の複製ミニチュア(約5×7.5cm)らしい。
手前の彫刻も名のある作品なのだろうが、まさにミニチュア美術館であって、ここからデュシャンが『トランクの中の箱』のアイデアを着想したことは、容易に想像できる。
■
ところで、ぼくが高松市美術館で『トランクの中の箱』を見たとき、ぼくが似ていると思った、子供のころ妹が持っていた『リカちゃんハウス』も特定できた。
「リカ年表」と言うのがあったので、これで当たりをつけて検索したのだ。
http://www2s.biglobe.ne.jp/~ellen/a/doll_097.htm
それがこれなのだが、『ハウス』ではなく『お買い物ストアー』だった。
以下の画像は、「ドウニモトマラナイ」というコレクターのサイトからの引用。
http://lovelovelicca06.web.infoseek.co.jp/index.html
家にあったのは、確かこのパンやさんだったような気がする。
閉じるとこんな感じのバッグになる。
ちなみに蓋=床はブリキ製で、リカちゃんの靴の裏の磁石がくっつくという、驚くべきシステムが採用されている。
しかしこうして改めて確認してみると、このアイテム自体は『トランクの箱の中』にあまり似てるとはいえない。
むしろ自分が知らなかった『リカちゃんハウス』のほうがソックリだったことが意外だ。
そのほかにこのタンスとか・・・
この勉強机とかも家にあった気がする。
ぼくは特にままごとはしなかったが、こういうミニチュアの感覚は、プラモデルとともに「フォトモ」に少なからず影響を与えているのではないかと思う。
取っ手のメッキの質感とか、イスの形とか、妙なところがリアルに思い出される。
■
と言うわけで、デュシャンとの類似はともかく、リカちゃんのアイテムも独特で面白いと思い、サイト内をいろいろ見回ってしまった。
その中で、ぼくとしては究極の逸品といえるのがこれである。
『リカちゃんトリオハウス』。
リカちゃんハウスの豪華版のようで、これは家にはなかった。
で、何が凄いかと言えば、内装の何もかもがとにかく凄すぎる・・・
前回紹介したリカちゃんハウスもなかなかだったが、大幅に凌駕している気がする。
空間畏怖的に、どこもかしこも「芸術」でびっしり埋め尽くされている・・・
ツッコミどころ満載だが、キリが無いのでノーコメント(笑)
「照明用ガス」ならぬ電気スタンドが絵で表現。
芸術のある暮らし。
風景画も素晴らしいけど、それ以外の何もかもが芸術尽くしの家。
楳図かずおの『ダリの男』という短編に、不気味な芸術だらけの「ダリの家」(本家ダリより不気味)が出てきたが、決してそれに引けをとらないと思う。
これは付属品の家具で、チープなバキュームフォーム製。
そして何もかもが芸術にしか見えない。
もはや『トランクの中の箱』の類似性を越えて凄すぎる。
いやこれが芸術じゃなかったら、一体何を芸術と呼べばいいのか?
まぁ、そう思うのはあくまで「非人称芸術」のロジックの延長でしかないのだが・・・
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