実験・トランクの中の箱とリカちゃんハウス
前回の記事で、高松市美術館の企画展での新作として『イメージの連鎖』を紹介したのだが、これらは「組写真」としては確かに新作なのだが、素材写真はフィルムで撮影された古いものだったりする。
しかし、今回の展示に合わせて特別に制作した、正真正銘の「新作」も出品している。
それが『イメージの連鎖(トランクの中の箱とリカちゃんハウス』である。
ぼくは、高松市美術館で初めて『トランクの中の箱』を見た際、子供の頃妹が遊んでいた「リカちゃんハウス」を思い出してしまった。
そこであらためてネットで画像検索して、思った以上に両者が「そっくり」だったこ
とに驚いてしまったのだ。
と言うことは、「アートと類似」という記事で詳細に語っている。
しかし、今回の高松市美術館の展示は驚く無かれ・・・
これはどういうことかというと、実は展示会場では『トランクの中の箱』の実物の隣に、「リカちゃんハウス」の実物が並べられているのだ!
そして、この「実物を並べた展示」を実現するため、ぼくはネットショップで見つけた「リカちゃんファッションハウス」のデットストック品を、結局のところよんまんごせんえんで購入してしまったのだ!
それだけではなく、ご覧の『トランクの中の箱』のための展示ケースも、この企画を実現するために自腹(じゅうまんえん)で注文制作したのだ!!
なぜなら美術館にはこの半分のサイズの展示ケースしか無く、しかも美術館は年度末で予算もなく、だったらぼくが自腹で!!!というふうに思い切ったのだ。
ともかく、この場に置かれたリカちゃんハウスを「まるで『トランクの中の箱』の
別バージョンのようだ」と思うか、それとも「こんな比較はそもそも馬鹿馬鹿しい」と思うのかは、まさにその人の「アート」のとらえ方によるだろう。
アートの捉え方が異なれば「何をシニフィアンと見なすか」も異なり、ぼくが提示した「シニフィアン連鎖」も全員に通用するとは限らない。
その意味で、ぼくは自分なりの「アートの概念」を提示しているつもりではある。
この展示はまた、ぼくが普段から行っている路上(フィールド)での「イメージの連鎖」を、美術館(実験室)で試みた再現実験だとも言えるだろう。
前回の記事で紹介したその他の『イメージの連鎖』は、あくまでフィールドで発見されたものの記録であり、「室内の実験」とはその意味で異なっている。
果たしてこの「実験」は成功なのか?と言うと、自分としてはまずは成功であり満足している。
いや金を掛けた分、成功だと思いたいだけなのかも知れないが・・・
ーー
| 固定リンク
「アート論」カテゴリの記事
- 無知・無能・無芸術(2014.03.23)
- 芸術の原因(2014.02.22)
- 写真家 リチャード・ミズラックの言葉(2014.01.31)
- 芸術の神髄(2014.02.03)
- リストカットとフォトカット(2014.02.09)
「非人称芸術」カテゴリの記事
- たまにはトマソン(2011.03.10)
- <超現実>と<現実界>(2011.03.04)
- たまにはネタ写真(静岡編)(2011.02.14)
- 味の道くさ(2011.01.08)
- 非人称芸術とアウトサイダーアート(2010.12.24)
「個展・グループ展」カテゴリの記事
- 糸崎公朗写真展『反ー反写真』TAPギャラリー会場写真(2012.05.25)
- ホンモノの「写真」みたいな「反-反写真」(2010.08.14)
- 「フリーアート」第1回展 に出展します(2010.08.07)
- 「ミュージアムトレイン」の復元フォトモ(2010.07.06)
- 「趣味的判断」を超越する(2010.06.13)
この記事へのコメントは終了しました。
コメント