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2010年5月28日 (金)

難解な絵の解り方

山本藍子『ただ ここにいる 2009〜2010年 1818×2590㎜(200号P)』

上記画像は彦坂尚嘉 さんのブログからの引用なのだが、先日マキイマサルファインアーツに個展を見に行った山本藍子さんの作品である。
で、ぼくにとってこの絵は非常に「難解」に思えたのだが、つまりはこの絵の良さが解らないと言うか、ハッキリ言えばちっとも良いと思えない。

と、そのように自分の自然な感性に従えば、この作品にぼくが興味を持つこともないはずだが、しかしデュシャンは芸術における「趣味的判断」を否定しているのである。
いや、デュシャンが言う「趣味的判断の否定」の真意をぼくはまだ良く理解していないのだが、少なくともぼくの「趣味」に合わないこの作品を、作家本人は自信作として提示し、彦坂尚嘉 さんも非常に優れた作品として評論しているわけで、そのこと自体は非常に気になる。

ありていに言えば、この絵の良さが解らない人は「芸術がわからない人」「センスがない人」として、彦坂さんから批判されている。
そして、その非難を「無視する」のも「受け入れる」のも、どちらも「方法」なのである。
で、最近のぼくはデュシャンの「趣味的判断の否定」を受けて、自分の感性を方法論的に信頼しないことにしているので、彦坂さんの批判を受け入れる(真に受ける)ことにしたのだ。

もちろん、批判を受け入れたところで解らないものは解らないし、彦坂さんのブログの解説文を読んでも理屈はわかるが「良い」と思えなければやっぱりわかったことにならない。
ただ、「解らない」と思っていた作品(作家)が突然理解できるようになることはよくあって、それが自分にとって劇的だったのはセザンヌだったのだが(大嫌いだったのが、突然大好きになった)ともかくわかる努力をすれば、いずれ解るかもしれないのが「芸術」なのである。

ということで、自分なりに「解ろう」として工夫してみたのが以下の画像加工である。
結果を先に言うと、結局はこの絵のよさは解らなかったのだがw、参考までに「実験」を見ていただこうと思う。

E5b1b1e69cace8978de5ad902b

まず、絵を上下逆にしてみたのだが、これは彦坂さんが

《透視画面》『オプティカル・イリュージョン』

と評していたのが良くわからなくて、つまりこの絵はぼくにはごちゃごちゃしていて「空間」や「立体」がよくわからないのだ。
しかし絵を180度回転すると、明らかに上下逆に見えて、つまりはこの絵にはもともと明確な「上下」の区別のもとに描かれていたことがわかる。
さらに上下逆にしたことで、つまり画面上部の「重さ」が強調されるとともに、画面の「立体感」や「奥行き」が強調され、なるほど《透視画面》『オプティカル・イリュージョン』のような気がしてくる。

E5b1b1e69cace8978de5ad902f

次はもっと大胆に画像を加工して、画面を左右二分割し、片面を鏡像にして合成してみた。
なぜこのような加工を施したかと言えば、彦坂さんのブログに

何人かの私の友人は、山本藍子の作品は、分かりにくい作品だと言います。つまり良さが分からないと言うのですが、それは豚とレースの組み合わせに意味を見いだせない人には、分からないのは仕方がない事です。

と書かれているからだ。
つまり、このような加工を施すことで「レース」はそのままに「豚」の存在を消すことができる。
これによって絵の見え方がどう変化するのか、検証してみたのだ。

E5b1b1e69cace8978de5ad902d

もうワンパターンあるのだが、実は結果としてオリジナル画像より自分にとって「解りやすい」作品になった。
理由は単純で、左右対称になることで「恐ろしい生物」を描いた絵に変貌したわけで、ぼくはそういう絵が好みなのだ。
ただ、それを突き詰めて言うと、ぼくは「生物が描かれた絵」よりも「本物の生物」のほうが好きなのだ。
それは結局のところ、ぼくの「反芸術」としての好みの現われでしかない。
ぼくとしてはそのような自分の「趣味的判断」を超越して「芸術」を理解してみたいのだが、なかなかに難しいのである。

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