瀬戸内国際芸術祭「ブログ4」写真のコンセプト
(犬島「家プロジェクト」 眼のある花畑 柳幸典/妹尾和世/長谷川祐子)
先の記事にも書いたように、今回の瀬戸内国際芸術祭のツアーでぼくは「カッコいいアートをカッコよく撮る」ということを試してみたのだが、その写真は「ブログ4」に掲載したので下記の一日目(10月22日)の分から見ていただければと思う。
http://d.hatena.ne.jp/itozaki/20101022
カメラはOLYMPUS E-PL1、レンズはM-ZUIKO DIGITAL 9-18mmを使用し、ほとんどの写真を9mm(ライカ判換算18mm)の超広角で撮影している。
全てモノクロで、RAWの同時記録なのでカラー現像もできるのだが、とりあえず色なしで掲載している。
当初はカラーで撮影したり、レンズも高倍率ズームM-ZUIKO DIGITAL 14-150mmを使ったりしていたのだが、モノクロで撮ってみたら意外に良かったのと、いろいろ迷うと中途半端になりそうなので超広角のみで撮ることに決めてしまったのである。
いや、実のところぼくの「反ー反写真」は35~50mm相当の「標準レンズ」のみで撮っており、広角レンズの使い方がどうもよく分からなかったのだが、瀬戸内海の島で使用したら案外しっくり来て「広角が使えるようになった!」と喜んでしまったのだw
しかし撮った直後はなかなかイケてると思った写真も、後で整理するとイマイチに見えたりして、もっと修行が必要だ。
もしかすると「記録写真」と「作品写真」のつもりがどっち付かずで、それで中途半端になっているのかも知れない。
ところで、今回このような写真を撮ろうと思い立ったのは、その前に水道橋のアップフィールドギャラリーで見た岡嶋和幸さんの写真展『くろしお』の影響も大きいのだった(10月31日まで開催中)。
『くろしお』は写真作品にもかかわらず、抽象的なエッチングにも見える不思議な作品で、一般的に「アート」の文脈でも鑑賞可能だろう。
しかし、ぼくは今回影響を受けたのは『くろしお』ではなく、会場に置いてあった岡嶋さんの作品ファイルだったのである。
岡嶋和幸さんは『くろしお』のようなアーティスティックな写真だけでなく、インタビュー写真や、カメラカタログに掲載される作品写真など、さまざまな分野で「写真」の仕事をされている。
会場にあったファイルは、仕事ではなくプライベートで海外を訪れて撮影した写真で、風景やスナップなど、誰が見ても「美しい」と思える写真で、ぼくは衝撃を受けてしまったのだ。
いや衝撃は大げさだがw、しかしぼく自身はそういう「誰が見ても美しいと思える写真」を全く撮ったことが無く、そしてそういう写真が自分でも急に撮りたくなってしまったのだ。
そう思っていたところ、瀬戸内国際芸術祭のツアーに誘われていたことを思い出し、この機会に試してみることにしたのだ。
ツアー中、快晴に恵まれていたらもしかするとカラーで撮影していたかも知れないが(岡嶋さんの作品ファイルはカラーだった)、道中は曇り時々晴れといった写真的にはさえない天候で、それでいっそのことモノクロで統一してしまおうと判断してみたのだ。
この結果が成功だったかは不明だが、少なくとも次のステップには通じただろうと思う。
いや、次のステップが何を意味するかは不明だがw、少なくともぼくが目指すアーティストが「多彩な作品を作れる人」なのであれば、写真家も「多彩な写真が撮れる人」の方が良いわけで、それにはちょっと近づいたかも知れない。
ともかく岡嶋和幸さんはアートからコマーシャルまで「多彩な写真が撮れる人」には違いなく、稼ぎもそれなりにあるっぽい。
一方「写真家」を名乗るアーティストの中には、地道にアルバイトをしながら、「自分の写真」をとことん掘り下げようとする人もいて、やり方は人によってそれぞれであり、もちろんどれが「正しい」などと決めるのはナンセンスだろう。
そのあたり、自分を振り返るとどうも中途半端な気がするが、とりあえずは「他人の欲望」をコピーすることを試している最中なのである。
(*岡嶋和幸さんの字が違ってるとの指摘がありましたので、修正しました。)
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