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2011年3月 6日 (日)

ツギラマの縁側

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前回の記事「ツギラマは四角くなくなくていい」の続きだが、いただいたコメントを元に、ツギラマの矩形からはみ出す部位を「ツギラマの縁側」と名付けることにしたw

Skyoumachi
と言うわけで、今回もツギラマの縁側についての研究を続けてみるのだが、まずは元のツギラマ。

Skyoumachib
こちらは縁側を切り落としたツギラマ。
ちなみに上のツギラマの縁側をそのまま切り落とすと画面が小さくなってしまうので、空や地面の縁側部分を補完したうえでカットしている。

実は、このツギラマについて「縁側をカットした方が良い」とアドバイスをくれたのは彦坂尚嘉さんで(その時はまだこの用語はなかったがw)、さらに「縁側を残したツギラマの外形は、言わば成り行きでできた形であり、それゆえに必然性に乏しく美しくないし、だから四角くカットした方が断然良くなる」と理由も述べていただいた。

だがぼくとしては「自分の才能の足りないところは自然に身を任せて補う」という方法論を採用しており、だからツギラマの「成り行き的外形」にも意味があり、何より縁側もツギラマの重要な要素だと考えていた。
だから彦坂さんのアドバイスは一理あると思うものの、全面的に納得しかねていたのだった。

しかし前回の記事にも書いたように、最近は気分が変わってきている。
プラトンや儒教などの「古典」を読むようになったのも理由だし、自分で「反ー反写真」を撮るようになったのも理由なのだが、「伝統」というものを重視するようになってきた。

これまでのぼくは「自然」を重視し「伝統」を軽視してきたのだが、この態度を「反省」するようになったのだ。
勿論自然は偉大なのだが、だからといって人間の文化や歴史を軽視する理由はないわけで、ともに「偉大なもの」として崇拝すればよかったのだ。

と考えると「才能の足りないところは自然に身を任せて補う」の他に「才能の足りないところは伝統に身を任せて補う」という方法論も有効なのであり、適宜使い分ければいい。
ツギラマの縁側が自然のなりゆきで上手く造形できなければ、「四角」という伝統に任せてカットすればいいのだ。

S22

もう一点、こちらは縁側付きのツギラマ・・・

S22b
縁側をカットしたツギラマ・・・

実は上のツギラマは全体の形に変化を付けるため、写真の並べ方をちょっと工夫している。
この路線をさらに突き詰めれば、ツギラマの縁側で「間」としての造形が可能になるのかも知れないが、この研究もまた続ける必要はあるだろう。

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コメント

視界に境界線はない、と言ったのはヴィトケンシュタインだったと思いますが、縁側はこの境界のあいまいさに相当するものだと思います。
ツギラマは世界の現れにそのまま立ち会う、というのが基本だと思いますので、縁側もフィレと同様大事なものですよね。

単純に縁側を切り取ると、絵が整理されて、意味が浮かび上がるような気がします。
ここまでしないと料理じゃない、という人もいるかも。

ただアラを捨てるのはもったいないので、いろいろ工夫したいですよね。

投稿: ふ | 2011年3月 6日 (日) 21時14分

一つの方向性としては枠に収めてみる試みもアリ、かも知れませんが、、
一人のファンとしての僕の感覚では一枚の写真(枠)に収まりきらない世界を表現したのがツギラマの愉しさだと思っていたので、
端が飛び出している所がまさしく非平面性を表す最も重要なファクターの一つだと思ってきました。
縁側の飛び出し方に偶然性はあるかも知れないけれど、作品としてはやはり考えて接いでこられたと思います。
そういう自由度がなくなるとやはり、窮屈、に見えるのも元を基準にみてしまうからかも知れませんが、、、
たとえば、素人考えかも知れませんが、上の作品で電柱が上下裁ち落とされているのはやはり惜しいと思ってしまいます。。

投稿: schlegel | 2011年3月 6日 (日) 22時20分

実はツギラマ的表現をする写真家の中では「縁側なし派」がけっこういたりしますw

久坂 奏
http://rcc.recruit.co.jp/gg/artistfile/photo/000169/index.html

マスミ ハヤシ
http://www.masumimuseum.com/index.html

みなさんのご意見も参考に、いろいろ研究してみます。

投稿: 糸崎 | 2011年3月 7日 (月) 00時29分

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