ザ・シークレットのシークレット
実家の母に薦められてDVD『ザ・シークレット』観てみたが、ひとことで言えばこれは「洗脳映像」でしかない。
お金持ちが貧乏人に「金持ちになる秘訣(ザ・シークレット)を教えてあげる」と言って、一部だけ本当のことを教えて、それでいながら全部は教えないので、貧乏人は絶対に金持ちになれない仕組みになっている。
『ザ・シークレット』で語られる「引き寄せの法則」はもっともな事だが、それは「悲観するより前向きでいた方が物事上手く行く」というだけの事でしかない。
それを「宇宙の法則なのです」などと神秘を装った非科学的根拠で説明しているのだが、これで納得してしまうような人は騙されてるだけであり、従って絶対金持ちになれないだろう。
「引き寄せの法則」について非科学的な根拠をあえて示すのは、それを観る人の「教養の無さ」を肯定するためだ。
そして「必要なのは欲望と、それを実現する為のイメージだけ」と説き、「無反省」や「怠惰」などをことごとく肯定する。
金儲けには教養や科学的思考力、反省や努力は不可欠のはずだが、それをスルーし金に対する執着心のみを煽っている。
『ザ・シークレット』は冒頭で「世界の富の大部分をなぜたった数パーセントの人々が占有してるのか?」と問うている。
その理由は、金持ち連中が貧乏人どもを自らの土俵に誘い込み大量の敗者を生み出しているから、とぼくには思えてしまう。
これを打ち破るには相手の挑発に乗らず、土俵を無視する事である。
すなわち古代の賢者に倣い、智慧や知識や経験などを財産とすればいいのだ。
『ザ・シークレット』は新興宗教の勧誘映画のように見えてしまうが、実際には何かの宗教に通じているわけではなく、その意味での危険性はないと言えるだろう。
でも貧乏人を「無知」に縛り付け、「無反省」「怠惰」に縛り付け、結局は「貧乏」に縛り付け、既存のお金持ちだけがますます得をするという素晴らしい効果がある。
だから貧乏人はそんな挑発に乗ることなく、プラトンでも読んで教養が身につけたほうが、結果としてお金に困らなくなり貧乏を抜け出すこともできるのだ。
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