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2012年6月10日 (日)

それぞれの環世界

人々は同じ環境にいながら、それぞれ異なる環世界を生きている。だから自分に見えているものが他人には見えず、他人に見えているものが自分には見えていない、という状況が当たり前に生じる。

例えば糸崎公朗という人間の存在も、人それぞれの環世界によって、その立ち現れ方が異なる。だからいくら自分が相手に存在感をアピールしても、相手の環世界に自分の存在が一切立ち現れていない、という状況も起こりうる。

自分が誰かに全く相手にされていない状況は、相手と自分の環世界にズレが生じており、相手の環世界に自分の存在が立ち現れていない、と言い換える事ができるかもしれない。
そんな場合は、相手の環世界に合わせて自分の存在を変容させる必要がある。

ここは自分も反省すべき点なのだが、多くの人の環世界は閉じている。
従って多くの人々は、お互いにお互いの存在を認識していない。
だからこそ自分の環世界に窓を設け、他人に自分の姿を見せ、他人の環世界に自分が立ち入りながら、コミニュケーションをとる必要がある。

環世界とは、人間にとっては宗教観もその一つである。
そして、日本的無宗教者は他宗教に対し恐れをなし、不寛容であり、その意味で環世界が閉じている。
原理を振りかざすキリスト教者もまた同じ。
これに対し、たとえ無宗教者としてであっても、自分の信仰を深めるため他宗教に学ぶ者は、その環世界が開かれている。

環世界が閉じた相手に対し、それを開かせるよう外部から働きかける事は、原理的に不可能である。
だからそのような人間との関係を望む場合は、自分の環世界を変容させ、相手の環世界に招かれるための窓を開ける必要がある。
その窓から自分は半身を乗り出したまま、相手の環世界に招かれる。

想像界の精神しか持たない人間と、象徴界の精神をつ人間とでは、環世界が異なる。
だから想像界の精神だけの人に対し、象徴界の精神で接すると、その有様は認識不能のノイズとして環世界に立ち現れ、嫌悪や不快を呼び起こす。

現実界の精神だけの人間の環世界について、ぼく自身の理解がまだあまり進んでいない。
しかしこれまでの経験から、彼らの環世界に象徴界の精神は、ノイズとしてはおろか一切立ち現れる事なくその存在が無である可能性がある。
現に自分はそのような人から「言ってる意味がわからない」と言われた事がある

想像界の精神だけの人に対しては、その環世界に合わせて、自分も想像界的に振舞う必要がある。
現実界の精神だけの人に対しては、その感世界に同調し、自分も現実界的に振舞う必要がある。
それには相手をよく知る事が必要で、そのために相手をよく観察する事が、そのままコミュニケーションになる。

相手の環世界に合わせ、自分の環世界に変幻自在な窓を作り出す名人が、確かに存在する。
そのような人の環世界は言うまでもなく開かれている。

想像界だけの精神に生きる人の環世界は混沌として様々なノイズに満ち、時に彼らはそれに怯えている。
現実界の精神だけに生きる人の環世界は、ノイズもなくスッキリ晴れ渡り、要素が少なく単純明快に構成されている。

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コメント

こんばんは、相馬です。

至急お知らせしたいことがあります。

そちらのメルアドわからんので、わしのところにメールください。

今すぐなら、家電でも可です。

宜しくね。

投稿: | 2012年6月10日 (日) 19時25分

相馬さん、連絡ありがとうございます。

投稿: 糸崎 | 2012年6月10日 (日) 20時47分

先日の大阪の刺殺事件のように「誰でも良かった」的な事件が増えてますが、これは想像界ではなく現実界の精神のみの持ち主の事件でしょうか。
ノイズがなくすっきりしてるからこそ、躊躇しないんでしょうか。

投稿: 坂出太郎 | 2012年6月12日 (火) 11時40分

書き込みありがとうございます。
お答えは別の記事に書きましたので、そちらをご覧下さい。

投稿: 糸崎公朗 | 2012年6月13日 (水) 08時35分

ブログへの投稿でなく申し訳ございません。長野県の上田市で教員をしている者ですが、現在生徒と共に市街地での企画展示を計画しています。その中の一つに、糸崎さんのツギラマ・フォトモを応用したものでインスタレーションを展示しようと考えております。
メアドがわからないので、こちらで失礼しましたが、アドバイス等頂けると幸いです。こちらに返信頂ければ、企画書があるのでデータを添付いたします。よろしくお願いします。

投稿: 臼井 | 2012年6月14日 (木) 11時04分

臼井さま
このたびはご依頼ありがとうございます。
メールアドレスは以下ですので、よろしくお願いします。
itozaki.kimioアットマークgmail.com

投稿: 糸崎公朗 | 2012年6月14日 (木) 12時55分

臼井さま

そちらからのメールまだ届いていないのですが、念のため、上記アドレスのアットマークは@に変えていただければと思います。
ネット上にそのまま載せると、スパムが来るようになるので・・・

投稿: 糸崎公朗 | 2012年6月16日 (土) 08時26分

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