出現!盆栽ツギラマ
新作の「盆栽ツギラマ」その1。
「盆栽ツギラマ」その2、です。
アーティストのブログらしく、たまには作品を掲載しないといけないのですが、さいたま市大宮盆栽美術館で開催中の企画展、『夏休みアート教室 みんなで展覧会をつくろう!』の展示作品です。
同館の展示品である盆栽を、1年掛けて撮影したシリーズで、10月に個展を開催するのですが、その内の2点をこの企画展に出品してるのです。
盆栽も極めると、生きた植物を素材とした「人称芸術」になる、と言うことが盆栽美術館の展示品を見るとよく分かります。
一方、ぼくは「非人称芸術」のコンセプトに基づき作品を展開してきたので、これまでの自分の感覚では、盆栽を自分の作品として撮影をするのは不可能でした。
しかし、アートプロデューサーの田中廉也さんから、「盆栽美術館で作品を撮って、個展をやりませんか?」と声を掛けていただき、ここで断ったらもうアーティストとしては先細りしていくしかないだろうと思ったぼくは、思い切ってその申し出を承諾したのでした。
そもそも田中廉也さんのように、ぼくを評価してくれる上に仕事まで依頼してくださる方はごく希で、そんな方が与えてくださったチャンスを無碍に断ることはできません。
しかし実際、盆栽美術館の盆栽に対面すると、その完成度の高さに圧倒され、自分がこれを撮って作品化する必然性が、全く感じられないのでした。
これまでのぼくの写真は、フォトモにしろ、ツギラマにしろ、路上ネイチャーにしろ、撮影の対象物が「芸術ではない」からこそ、作品として成立していたのです。
しかし完成度の高い盆栽はそれ自体が芸術作品で、だから安易に撮影して作品に置き換えても、元の盆栽に負けることは明らかなのです。
そうは言っても、いちど撮影の依頼を受けてしまったからには後戻りすることはできず、半年近くろくに撮影もできず(なぜなら何のアイデアも出ないから)悩む日が続いたのでした。
そんなふうに頭を抱えるばかりのアーティストに対して、田中廉也さんも盆栽美術館の学芸員さんも、さぞかし不安だったろうと思うのですが、その間ぼくは、このブログに書いてきたように「創造的自殺」と「創造的発狂」を繰り返しながら、「盆栽撮影に挑む自分」を創り上げようとしたのでした。
それでついに、ご覧の通りの「盆栽ツギラマ」の技法を開発し、いやぁ、自分としてもホッとしました・・・一時は本当に何もアイデアが浮かばず、半ば本気でトンズラするしかないと思ってたのです(笑)
田中廉也さんの依頼は非常なプレッシャーでしたが、しかしぼくの才能を信じてくれていたことも事実で、そのお陰で自分はアーティストとして飛躍できたわけで、あらためて感謝いたします。
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夏休みアート教室 ワークショップ⑥ 期間:2012年8月5日(日) 場所:大宮盆栽美術館 講座室 【写真を撮って切り抜いて―ボンサイフォトモ+】 盆栽を撮った写真を切り抜き、イラストをまじえて、盆栽のある風景のジオラマを制作します。 ◆講師:糸崎公朗(写真家) ◆参加費用:300円 ◆応募締め切り:~7月22日(日)
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コメント
このシリーズでいっぱいつくってください。
よいと思います。
投稿: ふ | 2012年7月22日 (日) 20時00分
どうもありがとうございます。
シリーズ展開、考え中です。
投稿: 糸崎公朗 | 2012年7月23日 (月) 10時03分
これって、デビット ホックニーのパクリじゃん!
投稿: ホックニーの孫 | 2013年4月21日 (日) 14時00分
すっかり返信が遅れましたが、確かにその通りですw
投稿: 糸崎 | 2013年5月17日 (金) 00時02分