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2013年7月 3日 (水)

認識と環境変化

人間は未知のものを新たに認識できるが、昆虫はプログラム(本能)によって定められた「既知のもの」以外は認識出来ない。

人間は「知らないもの」「見えないもの」を新たに認識する能力を備えるが、昆虫は種に固有のプログラムによって定められた「知っているもの」「見えるもの」以外を認識することが出来ない。

ところが人間も子供から大人になるにつれて、昆虫のような固有のプログラムを自前で構築し、やがては「知っているもの」「見えているもの」以外を認識しなくなる。

「知らないもの」「見えないもの」の認識は「比較」によって可能となるが、昆虫はこの能力を持たない。例えばモンシロチョウの幼虫はキャベツに含まれるある種の化学物質だけを認識し、その葉を食べる。カマキリは動くものだけを認識し、だから獲物の虫が動きを止めるともうそれを認識出来なくなる。

人間は本来「比較」の能力を持っているが、いちいち物事を比較してると時間がかかる。だから何事も比較せず、「知っているもの」「見えるもの」だけで判断する事は効率化に繋がる。逆に「知らないもの」「見えないもの」を認識する比較の能力は、適応力に繋がる。

適応と適応力は異なる。適応力の高い人は激変する環境に素早く適応できるが、そのような適応力を獲得するには時間が掛かる。適応力を養うには、様々な「知らないもの」「見えないもの」を比較によって、時間を掛けて認識する必要がある。

「知らないもの」「見えないもの」が認識出来ない昆虫は、その意味で適応力を持たず、環境が激変すれば絶滅するしかない。しかし実際には、ゴキブリやハエなど様々な昆虫が、都市という新たな環境に適応し繁栄している。しかしもしかするとゴキブリにとって、環境は何ら変化していないのかも知れない。

森林が取り払われて都市になろうとも、そこにすみ続けるゴキブリにとって、環境は全く変化していない、と見る事ができる。ゴキブリは狭く暗く適度に湿った空間を好むが、そのような場所は森林にも都市にも存在し、彼らにとってどちらの環境も同一であると認識される。

逆にいえば、ゴキブリは森林から都市への環境変化を認識できず、そのおかげで環境の変化を問題にせず、生き延びる事ができている、と考えられる。人間もまた同じであり「知らないこと」「見えないもの」から徹底して目を逸らす事によって、高い適応力を示す人は実に多いのかも知れない。

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コメント

カマキリの赤ちゃん、可愛いと思います。

(・∀・)
半透明で小さくて、とても可愛いと思いました。

天敵にあたる関係の昆虫も、両方可愛かったりします。

色々な考え方があるのだなぁと思いました。

投稿: (・∀・) | 2013年7月28日 (日) 11時02分

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