今さらながら『プライマリーフィールド2』の感想
今さらでなんなのだが、1月9日に見に行った神奈川県立近代美術館葉山館『プライマリーフィールド2』展の感想を、ツイッターの書き込みを元にまとめてみる。
7人の現役アーティストによる企画展だが、絵画として分かりやすい作品ばかりで、自分としても特に悩むことなく素直に観ることができた(笑)
全体の印象としては、とにかく軽い感じで、芸術ならではの難解さや重厚さを否定しているようにも思える。
言ってみれば、雑誌『イラストレーション』のコーナー「ザ・チョイス」にでも載ってるみたいなオシャレで軽いイラストを、アートの形式に置き換えたような感じ。
また、この企画展は写真を元に描いた絵画が多くて、その意味でも参考になった。
実は、ぼくは最近「反ー反写真」に続いて「反ー反絵画」を描こうと企んでおり、自分で撮った写真を絵にしたらどうだろう?なんて事を考えていたのだ。
ぼくは芸術家としてのオリジナリティーが無く、インスピレーションも湧かず、絵画の道は断念してしまった。
ついでに構図が取れないので、真っ当な写真の道も断念してしまった(笑)
だが美大受験のためデッサンをやったので、写真を見ながらそっくりに描く事は一応できる。
しかも最近は「構図が苦手」が克服され自分でも「写真」が撮れるようになってきたのだ。
ただ、技術だけでセンスの無い自分みたいな人間が写真を見て描くと、際限無く精密に描き込むしかなくて非常に時間が掛かってしまう。
絵は描きたいけど、そこまで手間のかかる描き方はとてもやる気がしない…
と言う観点で『プライマリー・フィールド2』の作品を観ると、特に高橋信行さんの作品は、写真を元に描きながら大胆に図式化、省略化され、少ない工程で軽やかに描かれている。
そしてこの独特の抜き加減が「芸術」として肩肘張った前時代的態度と異なるオシャレで軽やかな「アート」になっている。
「現実が密に写し出された写真から、いかにして大胆に要素を削って絵画を成立させるか?」というように考えると、漠然としたオリジナリティーやインスピレーションなどという概念とは違う方向で、自分が描くべき絵画を考える事ができるかもしれない。
他には小西真奈さんと三輪美津子さんも写真を元に描いていて、高橋信行さんよりはだいぶリアルに描き混んでいるが、しかし粗いタッチで軽快に描かれている。
というか、小西さんと三輪さんは共に描き方がとてもよく似ている。
小西真奈さんと三輪美津子さんの絵は、どちらも一見写真のようにリアルで、近づくと粗いタッチで遠近感がわからなくなる感じに見える。
実物ではなく写真を見ながら描いた絵特有の薄っぺらさがあり、これも軽快な心地よさを観客に与える一因なのかもしれない。
意外だったのは小西真奈さんと三輪美津子さんともにタッチが達筆というわけではなく、どちらかと言えばグチャグチャと塗りが汚く思えた事だ。
ぼくは似たような絵でも、印刷前提のイラストはそれほどきれいな塗りではなく、芸術絵画はさすが達筆に描かれる、と認識してたのだがその決め付けがもはや時代遅れかもしれない。
ともかく小西真奈さんと三輪美津子さんは描法が良く似てて、モチーフが異なっているように思える。
という意味で極めて「写真的」だと言えるかも知れない。
つまりぼくも両人のような描法で自分の「写真」を見て描けば、絵画を成立させられるかも知れない。
いや、あくまで想像的な案でしかないですが…(笑)
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