製作記

2012年7月22日 (日)

出現!盆栽ツギラマ


新作の「盆栽ツギラマ」その1。


「盆栽ツギラマ」その2、です。

アーティストのブログらしく、たまには作品を掲載しないといけないのですが、さいたま市大宮盆栽美術館で開催中の企画展、『夏休みアート教室 みんなで展覧会をつくろう!』の展示作品です。

同館の展示品である盆栽を、1年掛けて撮影したシリーズで、10月に個展を開催するのですが、その内の2点をこの企画展に出品してるのです。

盆栽も極めると、生きた植物を素材とした「人称芸術」になる、と言うことが盆栽美術館の展示品を見るとよく分かります。

一方、ぼくは「非人称芸術」のコンセプトに基づき作品を展開してきたので、これまでの自分の感覚では、盆栽を自分の作品として撮影をするのは不可能でした。

しかし、アートプロデューサーの田中廉也さんから、「盆栽美術館で作品を撮って、個展をやりませんか?」と声を掛けていただき、ここで断ったらもうアーティストとしては先細りしていくしかないだろうと思ったぼくは、思い切ってその申し出を承諾したのでした。

そもそも田中廉也さんのように、ぼくを評価してくれる上に仕事まで依頼してくださる方はごく希で、そんな方が与えてくださったチャンスを無碍に断ることはできません。

しかし実際、盆栽美術館の盆栽に対面すると、その完成度の高さに圧倒され、自分がこれを撮って作品化する必然性が、全く感じられないのでした。

これまでのぼくの写真は、フォトモにしろ、ツギラマにしろ、路上ネイチャーにしろ、撮影の対象物が「芸術ではない」からこそ、作品として成立していたのです。

しかし完成度の高い盆栽はそれ自体が芸術作品で、だから安易に撮影して作品に置き換えても、元の盆栽に負けることは明らかなのです。

そうは言っても、いちど撮影の依頼を受けてしまったからには後戻りすることはできず、半年近くろくに撮影もできず(なぜなら何のアイデアも出ないから)悩む日が続いたのでした。

そんなふうに頭を抱えるばかりのアーティストに対して、田中廉也さんも盆栽美術館の学芸員さんも、さぞかし不安だったろうと思うのですが、その間ぼくは、このブログに書いてきたように「創造的自殺」と「創造的発狂」を繰り返しながら、「盆栽撮影に挑む自分」を創り上げようとしたのでした。

それでついに、ご覧の通りの「盆栽ツギラマ」の技法を開発し、いやぁ、自分としてもホッとしました・・・一時は本当に何もアイデアが浮かばず、半ば本気でトンズラするしかないと思ってたのです(笑)

田中廉也さんの依頼は非常なプレッシャーでしたが、しかしぼくの才能を信じてくれていたことも事実で、そのお陰で自分はアーティストとして飛躍できたわけで、あらためて感謝いたします。

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夏休みアート教室 みんなで展覧会をつくろう! 期間:2012年7月13日(金)~9月2日(日) 場所:大宮盆栽美術館 企画展示室

夏休みアート教室 ワークショップ⑥ 期間:2012年8月5日(日) 場所:大宮盆栽美術館 講座室 【写真を撮って切り抜いて―ボンサイフォトモ+】 盆栽を撮った写真を切り抜き、イラストをまじえて、盆栽のある風景のジオラマを制作します。 ◆講師:糸崎公朗(写真家) ◆参加費用:300円 ◆応募締め切り:~7月22日(日)

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2011年5月23日 (月)

ガイガーカウンターで作品

ガイガーカウンターで、「作品」を作ってみました。
ぼくが買った機種「GM-10」はパソコンに接続しなければ作動しない点が面倒ですが、数値をグラフに表示する機能があります。
つまり目に見えない放射線を視覚化する「写真機」でもあるわけで、その「写真」としてのグラフとデジカメで撮ったその場の写真をレイヤーで重ねてみたのです。
このようなアイデアは当初からあったわけではなく、デジカメの写真も「ブログ1」に情報としてアップするために撮影したものですが、ふと思い付いてこんな風に合成してみたのです。

これが「作品」や「芸術」と言えるものにちゃんとなっているのか?は正直自分ではよく分かりません。
なぜならぼくは「芸術」が何なのかいまひとつ分からず、そして自分としてはかなり珍しく(非人称芸術ではなく)「芸術」を意識して作品を製作してみたのです。
タイトルは安直ですが、とりあえず「トウキョーマイクロシーベルト」ということにしてみましたw

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ichigaya
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kudanshita
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marunouchi
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omiya
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okubo
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kokubunji

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2011年4月20日 (水)

シムズとフォトモ(3)

 


ニンテンドー3DS用「ザ・シムズ3」のプロモーション作品の製作ですが、今回は技術的な細かいことを書いてみます。

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人物素材のスクリーンショットですが、せっかくのパーティーなのに女性が「独りメシ」で寂しすぎます(笑)
このゲームのプレイヤーはキャラクターを直接操作することはできず、大まかな指示を与えるだけで、あとは勝手に行動します。
一種の人工知能なのかも知れませんが、良くできていると思う反面、時々おかしな行動してなかなか味わい深いのです(笑)

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こちらの男性も独りメシ・・・なぜなんでしょうか?(笑)
面白いけど、作品としては「絵」になりません。

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そこで、フォトショップで女性のみを切り抜いて、左右を反転・・・

S004男性はテーブルと一緒に切り抜きます。

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補助パーツを加え、計5枚のレイヤーを重ねるとこんな感じに・・・二人で仲良く食事してます(笑)
この画像をプリントアウトして切り抜けばフォトモ(的作品)のパーツになるわけです。
こういう細かいゴマカシ加工は面白いのでついハマってしまいますが、完成度を高めるほど苦労の痕跡が見えなくなってしまいます。
フォトモを銀塩写真で製作してた頃は、これと同等の作業をプリントの切り貼りで行ってました。
なので、その技術がフォトショップでも活かされるわけです。

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2011年4月19日 (火)

シムズとフォトモ(2)

ニンテンドー3DS用ゲーム「ザ・シムズ3」の、プロモーション用作品製作の続きです。

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企画会議があった翌週、再びオフィスを訪れてオペレーターの方に「ザ・シムズ3」のPC版を操作してもらいました。
操作と言うより、シムズの「仮想空間の街」を案内してもらう、といった感じです。
ぼくのような初心者がイキナリ操作できるような簡単なゲームではないのですが、それだけに奥が深いのです。

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シムズの世界観をだいたい理解したところで、スクリーンショット撮りました。
これを素材にフォトモの技術を応用した作品を作ります。
画質が粗いのでは?と言う心配がありましたが、十分に高画質で驚きました。
これは「主人公」が購入した家なのですが、立体にしやすいようにシンプルな平屋を選んでみました(笑)

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次に主人公に「パーティーを開く」という指示を与え、家にトモダチをたくさん呼んで、スクリーンショットを撮りまくりました。
キャラクターたちは主人公を含め勝手に動き回るので、まさに「シャッターチャンス」を狙う感覚でスクリーンショットのボタンを押しまくります。

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で、自宅に戻ってスクリーンショットの画像をパソコンに取り込み、フォトショップで加工します。
人物は遠近感を考えて大きさを調整し、建物はパースペクティブを変えたり細かい部分を切り貼りしたり・・・色々やってます。

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加工した画像をプリントアウトし、ハサミやカッターで切り抜くと立体のパーツになります。

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組み立てるとこんな感じに・・・完成です。
平面である仮想3Dを素材に制作した「2.5D作品」で、まさにフォトモと同じです。
正確にはフォトモではないですが、便宜上「フォトモ」と呼ばれてます(笑)

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完成した「フォトモ」をマクロ撮影すると、元のスクリーンショットそっくりの写真に・・・
この製作過程は動画でも公開中です(笑)

 

 

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2011年4月18日 (月)

シムズとフォトモ(1)

「ザ・シムズ3」というゲームがあるのですが、ぼくはゲームは全くやらないので知らなかったのですが、そのプロモーション用に「フォトモ」の技術を使えないか?と言う依頼があったのです。
なぜフォトモなのか?というと、この「ザ・シムズ3」のニンテンドー3DS用が出るそうで、立体映像である3DSの世界観を表現するには、同じく3Dであるところのフォトモしかない・・・との事でした。
ぼくとしては、今ひとつ何の事やら分からなかったのですが、とりあえずスタッフの方と打ち合わせすることにしたのですが・・・

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打ち合わせの当日、イキナリ会議室で試作してしまったのですが、ゲームのキャプチャー画像のプリントアウトを、チョキチョキと切り抜いて簡単に立体化してみたのです。

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ウケてますね・・・スタッフの方がデジカメとケータイで試作品の写真を撮りまくってます(笑)。
まぁ、当然ながらウケると悪い気はしないし、試作の感触では何だかイケそうな気がしたので、このお仕事は引き受けることにしました。
果たしてどんなプロモーションになるのか?・・・はもう公表されてるのですが(笑)、この記事の続きは明日にでもアップします。

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2010年9月30日 (木)

高速フォトモ

そういえば、フォトモの新手法を開発したのですが、紹介するの忘れてました。

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このワンカットの写真から・・・

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こういうフォトモが即できあがり・・・
試作というかデモンストレーションなんでちょっと雑ですが、プリントしたその場でサクッと数分でできてしまいます。
これまでのフォトモは制作に時間が掛かりすぎ、スーザン・ソンダクが指摘したような「写真」の持つスピード性がスポイルされてしまってたのですが、この「高速フォトモ」はそんなことはありません。

実はこの手法、「復元フォトモ」の応用なのですが、11月に開催される信濃美術館でのワークショップで実戦投入します。
これまで、フォトモのワークショップは時間が掛かりすぎて先生も生徒もヘトヘトになってましたが、その欠点はかなり改善されるでしょうw

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2010年7月 6日 (火)

「ミュージアムトレイン」の復元フォトモ

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いろいろ事情があって、夕べは大阪の事務所にて徹夜で作業してました。

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できた・・・天満橋駅の「復元フォトモ」です。

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こんなところにハメ込まれてますが、京阪電鉄開業100周年記念事業の「ミュージアムトレイン」です。
このイベントのために、「復元フォトモ」を2点制作しました。

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2010年6月 8日 (火)

6月4日の日記

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6月4日は長野の実家で、鹿児島で撮ったフォトモを作ってたりとか。

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パーツ接着面の「段差」がポイント。

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できた・・・

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その後東京に戻り、「ながめる まなざす」DIVISION2のオープニングパーティーへ。
右は出品者の山方くんで、これまで彼の「写真」は自分には全然分からなかったのだが、今回は非常に良く「分かる」。
これはblog4で「写真」を撮る練習をしたからで、「分からないものに対して、自分もやってみることで理解が深まる」という実験はいちおう成功したようだ(もちろんまだ浅いかも知れないけど)。

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この日はもう一つの「実験」があって、それはオープニングパーティーから二次会まで酒を一滴も飲まず、ウーロン茶だけで通したことだ。
最近、飲み会で飲み過ぎて失敗ばかりしてたので、禁酒できるかどうか実験したのである。
結果としては飲まないですんだし、飲んでなくても楽しくおしゃべりできることが判明した。
シラフであってもしゃべりまくれば脳内麻薬物質が分泌されるから、飲まなくても済むのである。
飲酒は仏教でも禁止されてるが、この調子だと仏教の修行もできそうな気がするw

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2010年3月 4日 (木)

新潟でのツギラマ追加撮影

昨日は新潟市美術館の依頼で、新潟市内の万代橋で以下のようなツギラマを撮影した。
これは昔のパノラマ写真との比較として、大伸ばしして展示に加えられる予定である。
リコーGXR A10ユニットの70mm相当での撮影。
このほかに、オリンパスプロサロンからE-P2と50-200mmをお借りして、超望遠400mm相当で大幅に枚数を増やしたツギラマも撮影したのだが、こちらは1/3程度がピンぼけで大ショック!
ピピッとピントのあった音はするのだが、実際にはピンぼけのことがあり・・・E-P2のコントラストAFは通常撮影でも若干遅めのようだが、アダプターを使っての超望遠の撮影には全く適さない。
EVFで露出が確認できるので、EP-2はツギラマに適してる・・・と思ったのだが、とんだ落とし穴だった。
まぁ、プロだったら自選に機材をテストすべきなのでこれば自分のミスなのだが、その辺が「プロ」とは若干職種が異なるアーティストのダメなところだ。
しかし、結果的にはいかに掲載したツギラマがシンプルでよかったので、結果オーライなのである。

Sniigatapanorama

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2010年3月 2日 (火)

まだ終わらない高松市での展示準備

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どうもいろいろとグダグダで告知がちゃんとできていなかったのだが、今回の高松市での展示は、高松市美術館で『コレクション+(プラス) メタモルフォーゼ!!!!!変身アート』という企画展があって、その一室をぼくが『デュシャンと対話するフォトモ』としてキュレーションしたのだが、その他に、地元の商店街でアートイベントがあり、そっちにも作品を出展しているのだ。

それが丸亀町商店街で開催中の『ストリート的!?展 メタモルフォーゼ!!!!!変身アート』で、美術館との連携イベントなのである。
しかし、ぼくは高松の前に新潟市美術館の『新潟への旅』への作品制作を終わらせなければならず、『デュシャンと対話するフォトモ』も気合いを入れすぎてえらく時間がかかり、結局『ストリート的!?展』のための作品制作は、初日を終えてから取りかかることになり、帰り際の25日にようやく『復元フォトモ』5点の制作を終えたのだった。

ああそれと、高松市美術館で開催した「フォトモワークショップ」の生徒作品も、合わせて『ストリート的!?展』に展示するのだけど、問題は展示場所である。
事前に「ここに展示しますから」という場所に、美術館から借りた展示ケースだけ並べておいてもらったのだけど、あらためて確認してみるとどうも展示場所がよろしくない。

端的に言って、あまり人通りのない目立たない場所なのだけど、屋外というのは制約があって、どこでも何でも置いていいというものではないので難しい。
それでもとりあえず、イベントの主催者といろいろ話し合って、少しでもいい場所においてもらえるようにしてもらったのだけど、重量の展示ケースをすぐ移動してもらうわけにはいかないので、それは後日と言うことになっている。

まぁ、期間の長いアートイベントで、しかも街としても初めての試みなので、考えながら徐々に変えればいいでしょうと、そういうことになったのだ。
そしてついでながら、ストリートにただフォトモの入った展示ケースを並べただけでは面白くないだろうということで、「40cmくらいのフォトモのヒトガタを、展示ケースの間に点在させたら?」と言うアイデアを出したのだった。

しかしそのアイデアは帰り際に出たもので、ぼくはプリント用のデータと試作を2体作って、あとは高松のボランティアの皆さんにお任せすることになったのだ。

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で、そのボランティアさんから画像を送ってもらったのだが、このように続々とヒトガタができている・・・

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奮起されてるのはヒロッキー氏で、鉄工から木工から何でもこなし、おまけにフォトモワークショップに参加されてその技術をほぼ完全にマスターしたという、誠に頼りになるお方である。
ということで、高松市での準備はまだつづいているのであるが、週末には完成するそうなので、ぼくも楽しみにしている。
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